役に立つインフルエンザの知識

役に立つインフルエンザの知識

予防接種について

子供のインフルエンザで恐いのは脳炎や肺炎を合併することです。ただ、これらを併発するということは決して多くはありません。メディアで毎年のように騒がれますが、日常的に診察している立場からいうと滅多に遭遇することではありません。ですが、もちろんおこり得ない事でもありません。予防接種をきちんと受けていれば、たとえインフルエンザにかかっても重症化を防げるといわれています。インフルの予防接種を受けても罹ってしまう場合も多いのですが、重症化しないだけでも接種する価値は充分にあると考えてください。

インフルエンザの簡易検査について

簡易検査は大変便利な検査なのですが欠点もあります。一番の欠点は感染してから(インフルエンザに罹ってから)時間が早いと正しい結果が出ないことが多いのです。あきらかにインフルエンザと思える症状でも陰性(インフルエンザではない)という結果になってしまうことがあるのです。幼稚園などではインフルの流行時には熱が出たらすぐ病院へ行けと指導されていると思います。学校を早退し、急いでで受診して検査をしたとしても、結果が陰性と出ているお子さんたちを多数経験しています。むしろそのケースのほうが多いくらいです。ただ熱が出てすぐに検査して陽性と出ていることもあるので早目の来院が意味ないということではありません。また、鼻から柔らかい棒を入れる検査なので注射より痛くないと思われるかもしれませんが、決してそういうことではありません。かなりの負担を子供にかけてしまいます。そういう意味でも予防接種を受けていて本人が元気なら少し時間をおいて来院しても問題ないと思います。

インフルエンザの薬って?

現在何種類かのインフルエンザの薬がでています。その中でもA,B型に効く薬として一般的なものはタミフルという薬です。副作用としての異常行動が問題になりましたが、これについてはタミフルのせいではなくインフルエンザそのものが異常行動を起こしているのではないか?というのが小児科の一般的な考え方です。また、異常行動は小学高学年生から認められるもので年少児にはほとんど報告ありません。
主なもう一つの治療薬としてイナビルという吸入タイプの薬もあります。服薬が苦手なお子さんには便利な薬ですが、うまく吸い込めないと使用できません。その理由から当院では大体の場合5歳以下ではタミフル、それ以上はイナビルという選択を行っています。

これはけいれん?

悪寒をけいれんと勘違いすることが多いです。インフルエンザは特に高熱をきたしやすいので急激に熱が上がった場合、悪寒も引き起こしやすくなります。本当にけいれんがあった場合は救急車になりますが、実際は殆どが悪寒のことが多いです。悪寒とけいれんを区別するには

  1. 意識がある場合(問いかけに応じる場合)はけいれんではないことがほとんど。
  2. 瞬間的な動きはけいれんではないことが多い。意識があれば急ぐ必要はありません。 逆に悪寒と思われる動きでも長い場合、繰り返す場合はけいれんの事もあります。5分以上怪しい動きを認める場合は仮に意識があっても救急対応するべきでしょう。

けいれんが起これば、そのすべてが脳炎のけいれんということではありません。インフルエンザが引き起こした熱性けいれんのことも当然あります。それを区別するのはお母さんには厳しいでしょう。明らかにけいれんがあった場合は速やかに病院へ行くべきです。

異常行動、悪夢?

高熱を出した場合、インフルエンザでなくてもうなされたり、意味不明の言動は認めます。 意識がもうろうとしている場合は完全に覚醒(起こして)させてみてください。 そこで普通の会話がある程度できるのなら大丈夫です。脳炎などに罹っての異常行動は簡単にはおさまりません。覚醒しない場合、不穏状態が長く続く場合は救急対応すべきです。